こんにちは。
下北沢ルミアージュクリニック、形成外科専門医の栄です。
今回は、脳下垂体腫瘍に伴う眼瞼下垂症の患者さんについて供覧させて頂きます。
眼瞼下垂は色々な原因で起こり得ますが、脳の中にできる腫瘍でも下垂症状が起こり得ます。
写真の患者さんは、左が脳下垂体という場所にできた腫瘍による眼瞼下垂、右は長年のハードコンタクト使用による腱膜性(眼瞼挙筋腱膜が緩むことによる)の眼瞼下垂でした。
なぜ、脳下垂体腫瘍によって下垂症状が起こるのかと言いますと、腫瘍とまぶたの見開きを制御している神経(動眼神経)の位置関係に起因します。
脳下垂体は動眼神経と割と近接しておりまして、腫瘍ができて動眼神経を圧迫すると神経症状が出てきます(それが脳下垂体腫瘍の初発症状になることも)。
その結果、まぶたを開けるという動きを制御している神経がやられるため、まぶたの開きが障害されるわけです。
さて、診察しますと、特に右の眉毛が代償性に上がっています。
三重の線も多数ありました。
また眼瞼下垂がある方は、顎を上げて物を見ようとします(chin upと表現します)。
その結果、鼻腔(鼻の穴)が正面視からもはっきりと全体が見えます。
このように、眼瞼下垂がありますと、割と特徴的なシルエットを呈してきます。
診察を進めますと挙筋機能はどちらとも残っていると判断しました。
今よりはまぶたの開け方が改善することを期待して手術に勧めました。
そして患者さんも勇気を出してくださり、手術を行いました。
さて、術前術後の写真です。
手術前の下垂症状に伴う眉毛挙上が緩和され、まぶたの見開きも改善しています。
脳下垂体による眼瞼下垂があった左も手術前と比較すると改善しています。
患者さんも、開けやすくなったと仰っておりました。
整容的にも、改善したと思います。
脳下垂体腫瘍による眼瞼下垂が手術でどこまで治るのかは、正直やってみないことにはわかりません。
挙筋機能が残っていればやってみる価値はあるかと思います。
診察した上で、手術の適応について慎重に判断致します。
少しでも悩んでいましたら、お気軽にご相談ください。
今よりも少しでも改善できるよう尽力させて頂きます。
同じように悩んでいる方がいるかもしれないということで、写真の共有を快諾して頂いた患者さんには、心より御礼申し上げます。
ありがとうございました。
月曜、金曜日は、眼瞼下垂のオペ以外にも、目の下のたるみ治療、上まぶたのたるみ治療(眉下皮膚切除)などの目周りのオペの診療をおこなっております。
【保険診療】
眼瞼下垂症手術(挙筋腱膜前転術)
手術費用:47,520円(3割負担額)
考えられる副作用、リスク:出血、感染、傷の離解、傷跡、左右差、開瞼不十分、開瞼過剰、再建正術の可能性など
当院では術後1か月、3か月、半年までの術後の経過を診させて頂きます。
【保険適応外の場合】
手術費用:165,000円(税込)
※モニター料金:143,000円(税込)
症例写真などにご協力頂ける患者様には、モニター価格を適応させて頂きます。